黒川広人
「炎上は種まき。トランプ超えの影響力を持ちたい」異端のSNS発信を続ける真意|中島大嘉・水戸からの逆襲
Writer / 黒川広人
Interviewer / 黒川広人
Editor / 北健一郎
ローランドも注目のストライカーとして名前を挙げる中島大嘉。彼の魅力の一つが、歯に衣着せぬ“大嘉節”だ。大言壮語でありながら、どこか茶目っけも内包する発言は、多くのスポーツ選手のインタビュー内容とも一線を画す。そんなSNSを中心とした彼の発信が時には物議も醸すが、本人は「炎上は喜ばしいこと」とどこ吹く風だ。中島がその狙いと秘めたる思いを1mmの独占インタビューで語った。
(後編/取材日:8月14日)
サッカー選手のインタビューって面白くない
──中島選手にとってプロサッカー選手とは?
俺マジでサッカー選手のインタビューって、面白くないなって思うんすよ。そういう風になりたくなくて。プロサッカー選手である良さって、プレー面も勿論あるんですけど、人前に立って発言できるっていう面もあって、それもすごい大事な要素だと思ってます。多くの人を先導するような存在になれる場が自分たちにはあるんで。俺みたいに意味のわからんことを言ったら、なんやこいつって色々と言われますが、それも狙いながら発言してるとこもあるんで。そこで影響力を大きくつけてトランプを超える影響力を持ちたいんですよね。
──トランプですか。ちなみにサッカー選手で意識してる人物はいますか?
ズラタン(イブラヒモビッチ)ですね。めっちゃ好きなんすよ。ほんま、生き方も見た目も
全部好きです。 自分の信念を曲げずに生きてる感じがかっこよくて、自分の哲学や信念、考え方に素直に生きていこうっていうのが今の目標なんで。俺も賛否の否の方がめちゃめちゃ大きくなるだろうなって分かってても、あえて発言したりしてます。
──ズラタンは結果で世論を説き伏せている側面もあると思います。
そうですね。でも、まず結果で、ねじ伏せる、伏せないに関係なく言うじゃないですか?プロサッカー選手って、本当に白黒がはっきりつく世界です。その中で予防線を張らずに、発言をできること自体がかっこいいし、実際に結果でアンチを黙らせるのもかっこいいんで。かっこいいの5乗ぐらいっすよね。
──中島選手のプロとしての信念を言語化するとしたら、どんな言葉が思い浮かびますか?
試合後に1番、かっこよくありたい。試合後の1週間、点を決めたやつが1番かっこいいでしょ?キーパーとかミッドフィルダーもかっこいいけど、フォワードで点決めた選手は、何万人って入っているスタジアムの中で、歓喜の渦のど真ん中にいる訳です。全員がそいつの名前を叫んで、その選手を見て、ガッツポーズして、名前を呼んで、みんなが向かってくるんですよ?最高でしょ!毎試合俺がその存在になる為には、俺が点を取らなあかんから、そこから逆算したプレー、俺が1番点を取れると思うプレーをしたい。それが俺の信念ですね。
──一方で、中島選手はサポーター団体を中心としたサポートして下さる方々へのリスペクトを持っているとも感じます。
彼らはもっと評価されるべきやなと思ってるんです。自分たちは1番ピッチの上で美味しいところだけで仕事できるんすけど。例えば他にもコーチやDAZNのカメラマン、スタジアムで試合するにあたってバイトやボランティアの人。それを統括する社員の人とかもおるし、グランドキーパーさんがいて、スポンサーさんがいて、そこで働いてる人がいて。自分たちがサッカーするために興行に関わってる人ってめちゃめちゃいっぱいおると思ってて。その人たちがもっと評価されるべきだと思ってますね。
正直、炎上したい
──中島選手はSNSも積極的に使っていますが、どういった心持ちで情報発信をしているんですか?
正直、炎上したいんですよね。よく広報に怒られるんですけど。誰も傷つけない炎上って俺は本当にいいことやと思ってて。誰かを傷つけることをして炎上するのは絶対ダメだと思うんですよ。ただ俺だけが傷つく炎上やったらいいと思ってるんです。だって、炎上することで多くの人の目に触れられる。自分を知らなかった人もなんやこいつ!?ってなって、俺のことを調べるかもしれない。そして、俺が点を取った時に映像や記事がSNS上で流れると、その記事が今までだったらスルーしてたのを、あ!!この前、炎上してた人や!で止まるかもしんない。種まきですよね。俺がまず撒き餌をして、SNS上の人々が釣れて、仲間を引き連れて、その輪をどんどんでかくしてくれるんですよ。
──プロサッカー選手、中島選手の存在をより多くの人に知ってもらう為の発信?
アンチって火種をすぐに大きくしてくれるじゃないですか?あれ、めっちゃ気持ちいいですよ。だから俺へのアンチはやめんといて欲しいです。俺にとってその人たちは、どんどん俺を広めてくれる、ほぼザビエルみたいな存在ですよね。これからも中島大嘉の名前をどんどん届けて欲しいなと思います。
不特定多数が匿名で個人を批判するまではいいと思うんですよ。ただ、誹謗中傷までいくと、ほんまに訳が分からんから。あの構図はおかしいなって思ってるんで、それを全員が今一度、自覚するべきですよね。言われてる側が我慢すればいいとか、それが正義って風潮が当たり前になっていることがおかしいとこの前、Xに書いたんですけど。それはもう1回マジで考えなあかんでっていうのを言いたいです。
──中島選手がそのような考え方を持つのは、親御さんの影響が大きい?
そうですね。俺のお母さんは最強やと思ってるんです。まず、かわいい。170センチぐらいあって、可愛いし、大阪大学を出ていて、頭いいんですよ。そして、身体能力も高いんです。あとうちは、俺みたいな4人きょうだいなんですけど、変わってる4人を女手1つで育てあげた。最強ですよね。
──中島選手が今までメディアに話してない秘密って何かありますか?
今、座禅の考え方にはまってて、最近3、4か月は毎日、瞑想をしてます。本が好きなんですけど、それこそ藤枝でうまくいってなかった頃に、弓と禅って本を読んでハマりましたね。
──坐禅ですか。通常の1日はどんなルーティンを送っているんですか?
今は9時、練習開始なんで、5時に起きて、15分程、散歩をする。家に帰ってきて20分瞑想。その後、朝ごはんを作って、食べて、洗い物をする。それでコーヒーを飲みながらノートを書く。それが終わったら シャワーを浴びて、練習場に行く。最近は1時間45分前には練習場に着いてるんで、体を動かして、練習に臨む。練習後も16時とか17時まで、筋トレしたり、ケアを受けたり、昼寝したりでクラブハウスにおるんですよ。それを全て終えたら、自宅に帰って18時から、山﨑希一とご飯に行って、帰宅。20時過ぎに風呂入り、21時には布団に入って、22時には寝るっていう生活リズムを送ってますね。
──本当にサッカーに全てを注ぐようなルーティンですね。
水戸は正直、やることも多くないですし、俺は酒を飲まないので、夜に出歩くこともないです。基本オフの前日とかも、早い時は21時には寝たりしますが、充実してますよ。
──ちなみに今の髪型もかっこいいですけど、坊主の中島選手も個人的には好きなんですが今後のイメージはありますか?
そうなんすよね!たまに、ほんま坊主に戻しそうになるんですよ。ふとした瞬間にバリカンを握ってる瞬間があって、今、頑張って伸ばしてるんすよ。後ろで結びたくて頑張って伸ばしてるんですけど。やっぱり、坊主の方がいいですよね?
──ピッチ上でパッと目を引きますよね。
でも坊主の時は色々な人に覚えてもらえたんですけど。髪を伸ばすと女子ファンが増えるんですよ。それが気持ちよくて、今、ちょっと剃れないでいます。でも、明日、来たら急に坊主になってる可能性も全然あります。葛藤してるんで、毎日。
──自身を漢字一文字で表すとしたらどんな言葉が思い浮かびますか?
変 ですかね。元々変やし、もっと変でいたいし、常にそれを良しとする風潮にしたい。自分が変であることの正しさを世界に浸透させたいんです。普通になろうとするでしょ、みんな?じゃなくて、変を誇れる社会の象徴になりたいですね。
──中島選手は今後、そんな存在になる為にピッチ内外で活動していくつもりですか?
はい。最終的なサッカー選手の一つの目標として、自分の経験上、少しでもいいんで、誰かが今日や明日を生きるための力になれればと思って、頑張ってるところがあります。自分の発言、生き方、プレーも含め、明日に向かって、誰かの心を少しでも動かせるような選手になりたいんです。