【独占インタビュー】「札幌を助けたい」。高嶺朋樹が北海道コンサドーレ札幌への電撃復帰を決めた理由|“狂犬”から“救世主”へ、3年ぶりの帰還

KV Kortrijk/本人提供

Jリーグ

2025.01.05

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【独占インタビュー】「札幌を助けたい」。高嶺朋樹が北海道コンサドーレ札幌への電撃復帰を決めた理由|“狂犬”から“救世主”へ、3年ぶりの帰還

黒川広人

Writer / 黒川広人

Editor / 難波拓未

2024年の夏、高嶺朋樹は念願だったヨーロッパ移籍を果たした。移籍先のベルギー1部リーグ・KVコルトレイクですぐにレギュラーを奪取すると、チームの中心選手として全19試合に出場するなど、サッカー選手として充実の時間を過ごしていた。

しかし、冬の移籍ウィンドウで男は驚きの決断を下す。9年ぶりとなるJ2降格が決定した古巣の北海道コンサドーレ札幌への電撃復帰である。ヨーロッパの舞台で着実に存在感を示していた高嶺のもとには、セリエAのクラブやJ1のトップクラブなど国内外の多くのクラブの触手が伸びてきた。しかし、27歳を迎えたばかりの最も旬な時期に、“狂犬”はまさかのJ2移籍を決断。その理由を1mmの独占インタビューで明かしてくれた
(前編)

外に出たからこそ感じた古巣への想い

──札幌への復帰を決断した理由を教えてください。

シンプルに札幌をもう一回、J1に上げてタイトルを取りたい。その想いに尽きますね。他クラブからもオファーをいただきましたが、自分のこれからのキャリアを考えたなか、お世話になった札幌を助けたい思いがとにかく強かったんです。

──とはいえ、ベルギーリーグで先発出場していたなかでのJ2への移籍には葛藤もあったと思います。

J2というステージに引っかかりを感じたのは正直なところです。今、27歳で身体もメンタルも最も良い時期だと思います。もちろん海外で挑戦し続けたい思いはあったんですけど、三上大勝GMをはじめとする札幌の強化部の熱意だったり、あらためて「なにより自分自身が札幌のことを本当に好きなんだな」と外に出たことで感じました。長年、育ったこのクラブでタイトルを取ることは小さい時からの目標でしたし、今後のキャリアを考えたなか、今このタイミングで札幌に戻って力になることがベストな選択だと思い、この決断に至りました。

──フロントからの言葉で印象的だったものは?

自分をなにより必要としてくれました。「これからの北海道コンサドーレ札幌にとって、自分が必要だ」っていうような話をしてくれましたし、それを背負えるだけの経験をしてきた自負もあります。J2に落ちたタイミングではありましたが、J1に上げてっていうのはタイミングとしてすごく良いのかもしれないとも思いました。

──その一方で高嶺選手が長年、目標とする日本代表から遠ざかるリスクもあると思います。

はい。2025年は国内組が中心に活動するだろうE-1での代表活動もあったりしますが、J2でプレーするなかで選出されるのは難しいと思うので、当然、葛藤も出てくると思います。ただ、そのなかでも2025年は、札幌をJ1に上げることだけにフォーカスしてやっていきたいと思っています。それが達成できれば、28歳の代で、またJ1でプレーできるので。ギャップを感じる場面もあると思いますけど、すべては自分次第です。もちろん日本代表に入りたい思いは今もありますし、それを目標としていろいろな行動をしてきたつもりだったんであきらめていません。プロサッカー選手として最も良い時期をJ2で終えるつもりもないので、札幌を昇格させて、またスタートラインに立ちたいと思います。

──今回の移籍には石水創(石屋製菓株式会社代表取締役社長)さんを始め、多くの方々の尽力があって実現したようですね。

石水さんが動いてくださった話は自分も聞いていて、本当に感謝しています。

札幌の地への愛着

──ベルギーには単身で挑戦されていたそうですが、奥さんとお子さんと一緒に過ごせる時間が増えるのもうれしいのではないでしょうか?

もちろんそれはありますね。日本で一緒に住んで、これから生活を安心して送れるのは非常にうれしいです。

──それにしても2022年のオフ、柏レイソルへの移籍時のリリース文に、「またいつかコンサドーレに戻ってきたい」と記載していたものの、こんなに早く実現するとは思っていませんでした。

自分でも「こんなに早く帰ってくるとは」っていう感じです。僕自身、サッカー選手で札幌に戻ってくるとは正直、思っていなかったんです(苦笑)。スタッフなどの先々の可能性も含めてのつもりでした。

──ベルギーで戦うなか、札幌の降格はどんな心情で見ていたんですか?

ショックでした。ただし、(残留を)争っているのが柏だったんで。どっちも応援しているし、どっちも落ちてほしくない。まさか自分が所属した2クラブが残留を争うことになるとは思っていなかったので……。でも札幌の降格に対して多少なりとも自分にも責任のようなものを感じました。それらも含めて、この決断に至ったのはあると思います。

──札幌に同期で入団し、ベルギーでもチームメートだった金子拓郎選手は高嶺選手の札幌復帰には、どんな反応でしたか?

「やっぱり地元のクラブはいいよね」って2人で話しましたね。僕自身、札幌の土地自体にもかなり愛着があるし、好きですから。

──高嶺選手は小学4年生の頃から札幌のアカデミーでプレーしていますが、札幌への強い愛着の源は?

僕は小学3年生でセレクションを受けて、すぐに小学4年生の練習に参加しながら、コンサに入った。アカデミーで計9年。プロ生活の3年も含めて約12年いますからね。やっぱり札幌、好きですよ。言葉ではなんとも言えないですけど(笑)。札幌でタイトルを取ったら、泣くんじゃないですかね。「その時は、絶対に泣くよね」っていうのは(金子)拓郎とも話しましたね。「札幌でタイトル掲げたら朋樹、泣くよな?」と。

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