北海道コンサドーレ札幌
TikTok→YouTube→スタジアム。ライトファンを呼び込むためのSNS動線とは?|Jリーグ60クラブでNo.1の発信を目指して!コンサドーレ広報の変革
Writer / 黒川広人
Interviewer / 黒川広人
「中の人、変わった?」
コンサドーレのサポーター間で、2024シーズン、度々話題になるほど北海道コンサドーレ札幌のSNS投稿が活性化されている。
投稿はたびたびトレンド入りし、会員制ファンサイトの登録者数も過去最多を記録した。
変化のキッカケは2023年末、三上大勝代表取締役GMが広報チームを集めて投げかけた「JクラブでNo.1のSNS発信を目指さないか?」という一言だった。
それまでSNSの使い方が不得手と言われていたクラブの広報変革に迫る。
(第3回/全4回)
“いい男たち”の魅力を伝えたい
──サッカークラブのSNS投稿はチームの結果に左右される側面もあります。
田子大地 おっしゃるとおりです。勝った時は選手やコーチングスタッフの充実した表情など、SNSに出すものがたくさんありますし、出せば出すほど、ファン・サポーターの方に喜んでもらえる。でも、負けた試合の後はネガティブな雰囲気になるので、どうしても拡散されづらい。そういう時は、最小限の投稿に留めることもあります。
──勝利後の投稿というと、4月6日の第7節・ガンバ大阪戦後(1-0)の投稿が「熱すぎる!」と話題になりました。 どなたが投稿したんでしょうか?
選手を乗せたチームバスが、今季初勝利をつかんだ札幌ドームから出発しました。
長いトンネルを抜け、ここから明るく登っていけますように。選手たちが、勝利という形で報われてほしいと思っていました。
サポーターの声援は、1点をリードしても、終盤のピンチでも、常に最大の声量でした。… pic.twitter.com/nJ61VK8tIu— 北海道コンサドーレ札幌公式 (@consaofficial) April 6, 2024
井藤拓也 田子さんです!本当にいつ撮って、いつ出したのか、私たちも気づかなったぐらい。でも、文章を見たら誰が書いたかわかるので、すぐに「これ田子さんですよね」って。
田子 宮澤裕樹選手の先制ゴールが73分に決まった後は、「どうか、この男たちが報われてほしい」と、ずっと祈っていました。要は、ただの勝ち負けじゃないんです。ここに至るまで、いろんな意見をぶつけ合ったり、三上GMやミシャ監督と話し合ったりする様子を見てきたので……。アディショナルタイム5分と表示されて、最後までハラハラドキドキでしたが、なんとか勝ってくれて。
──あの日はサポーターの熱量もすごかったですよね。
田子 はい。オフサイドで取り消されましたが、ガンバに同点ゴールを決められた?と思った場面で、私は一瞬ガックリとなったのですが、ゴール裏の熱量まったくく変わらず、アディショナルタイムが2分経過、残り3分みたいな時に、さらに声が大きくなっていって。あらためて、ゴール裏の方々ってすごいなと思ったんです。1点リードしてからタイムアップまでの20分間ぐらい、ずっと考えていたことを、そのまま文字にしたという感じです。
──SNS投稿へのリアクションは常にチェックしていますか?
一同 もちろんです!
──あらためて、クラブSNSを通して発信したいことは?
田子 試合で活躍した選手や、常に試合に絡んでいる選手はメディアへの露出も多くなります。ですが、若手や出場機会の少ない選手も、それぞれに魅力がある。例えば、西野奨太選手なんかも、本当に“いい男”なんです。試合に出ているかどうか、知名度があるかどうかにかかわらず、ある意味で平等に発信するのはクラブSNSの役割だと思います。
石﨑拓也 私はチーム付きの広報なので、練習や試合などで選手たちと接する時間が長いです。そうすると、選手たちがどれだけ頑張っているかが見えてきます。具体的に名前を挙げると、小林祐希選手。怖いと見られがちなのですが、裏を返すと、サッカーにまっすぐなんです。
田子 私が一番好きなのが、練習後の選手たちの様子なんです。練習が終わった後の選手たちの自然な雰囲気も、SNSを通じて、もっと伝えていきたいです。
──一方で課題を感じていること、改善していきたいポイントはありますか?
田子 かつては、ほとんどのSNSに同じコンテンツを投稿していた時期もあったんですけど、今は各々のSNSに役割をもたせて、それに沿った運用で投稿するという改善はできています。今後はSNSからの動線をつくれるかが鍵になってくる。例えば、TikTokで選手に興味をもち、YouTubeで違った側面を知り、次はスタジアムに行ってみようというような。
青木大 田子が言うように、SNSで触れた新規層やライト層の方にスタジアムに足を運んでもらうのが最大の目的です。われわれだけじゃなくて、クラブとして新規層・ライト層の方が来やすいような環境、イベント、チケットの値段などを設計していく必要があります。
──最後に、60クラブのSNSでNo.1を目指すために、広報チームのみなさんの決意を聞かせて下さい。
井藤 私は広報9年目ですが、おおよその“型”があるんです。この時期には、これを出す、みたいな。ただ、そういう“型”を取り外すというか、固定概念にとらわれずにコンテンツをつくっていきたいです。
花見夏姫 ずっと応援いただいているファン・サポーターのみなさんはもちろん、今までコンサドーレに興味がなかった方々にも見てもらえるものにしたいです。
青木 僕は元々サポーターだったこともあるので、今まで応援してくれてる方々を大切にしながらっていう視点を忘れずに、うまく両立させながらやっていきたいと思います。
石﨑 正直、1番になるのは簡単に達成できる目標ではありません。でも、楽しみながら、このチーム、この5人でやっていきたいです。
田子 みんなと話して、あらためて整理できつつあります。あえてこういう表現をしますけど、みんな、“いい奴ら”なんです。選手も監督もスタッフも含めて、彼らの魅力をしっかり伝えていくことに一層、注力していきたいです。
──Jリーグ60クラブのSNSでNo.1になるという目標への手応えは?
田子 手応えはあります。この5人もね、いい奴らなので(笑)。