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堂安律は日本の10番にふさわしいのか?|森保ジャパン アジアカップの論点
Writer / 川嶋正隆
2024年1月1日、日本代表史上初となる元日決戦が東京・国立競技場で行われた。アジアカップに向けた貴重な実戦の場で「新戦力の発掘」と「戦術浸透」をテーマに、日本代表が5ゴールを挙げる快勝で61,916名のファンを沸かせた。その中心となったのは、10番を背負う堂安律。2024年にかける思いが伝わるプレーぶりに「堂安、オレ!」の大合唱がスタジアムに響き渡った。
(第2回/全3回)
停滞感を吹き飛ばしたトップ下・堂安律
「勝利を目指すのに変わりはない。いろんな選手を試して戦術を浸透させ、アジアカップやワールドカップにつながる戦いをする」。
日本代表史上初となる元日決戦・タイ代表戦のテーマは「新戦力の発掘」と「戦術浸透」だった。森保一監督が前日会見で語ったように、FIFA ワールドカップ カタール2021のメンバーでスタメンに名を連ねたのは伊東純也(スタッド・ランス/フランス)と田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)の2人だけ。3人の代表デビューを含む、「新戦力」たちが起用された。
フレッシュな選手たちはそれぞれの持ち味を出しつつも、無得点でハーフタイムを迎えた。チャンスを作りながらも決めきれない。そういった停滞感を吹き飛ばしたのが、後半開始からトップ下に入った堂安律(フライブルク/ドイツ)だった。
「2023年は内容自体悪くなかったですが、結果がついてこない年でした。数字さえついてくればという感覚はある」。
そう意気込んで臨んだ堂安が早速結果を残す。50分、佐野海舟(鹿島アントラーズ)からの縦パスを受けると、相手のプレスをうまくいなして反転。前を向いて一気に攻撃を加速させて、右サイドの伊東にピンポイントのクロスボールを送り届ける。結果的に、このプレーが起点になり田中の先制点につながったが、パスを出した堂安自身もしっかりとゴール前に顔を出してこぼれ球を狙うなど、分厚い攻撃が功を奏したシーンだった。
[無料ハイライト]
2024年日本代表初ゴールを記録TOYO TIRES CUP 2024
日本🇯🇵vsタイ🇹🇭/
後半5分#堂安律 からのボールを #伊東純也 が受け
中央に出したパスのコースが変わり#田中碧 のもとへ
待望の先制点を奪う
\#サッカー日本代表 #SAMURAIBLUE #jfa #daihyo— アベマサッカー (@ABEMA_soccer) January 1, 2024
アジアカップでも期待される“数字”
日本代表における堂安は、右サイドが主戦場だ。ワールドカップのスペイン戦で決めたようにカットインから強烈な左足が武器だが、それ以上に前線からのプレッシングやフィジカルを生かしたキープ力、パスの出し手の役割を担うことが多い。
しかし本人は「賢くなりすぎてバックパスをしている自分は、あまり良さが出ていない」とこれまでの役割に満足していなかった。
トップ下に入ったタイ代表戦では、2列目から積極的に裏を狙う動きや最前線の細谷真大(柏レイソル)と横並びの関係を作るなど、よりゴールに近い位置でのプレーを多様した。南野拓実(モナコ/フランス)がトップ下に入った68分以降は持ち場である右サイドへ。南野とポジションを入れ替えながら貪欲にゴールを目指すと、スタンドからは「堂安、オレ!」の大合唱。日本代表10番のプレーに、スタジアム全体が沸いた。
「試合中はフォワードにいってもいいし、右に流れてもいい。森保さんも含めて、名波さんにも言われていた。中にいけばシュートを打てるチャンスはある。今日も1、2本打てましたし、それが自分の特徴。悪くなかった」とこの日のプレーに手応えを掴んだ。
一方で求めていた数字(=ゴール)はなかった。本人も「数字が欲しかったですけどね」と悔やむ。しかしこの日のプレーは、日本代表の新たな可能性を十分に示すとともにチームの不安材料払拭も意味した。
フォワードの上田綺世(フェイエノールト/オランダ)はコンディション不良によりタイ代表戦を欠場。浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)はベンチ入りしたが出場を見送られている。ストライカー2人の不在で得点力に不安が残るだけに、堂安にかかる期待は大きい。
「2024年はもう一度ゴールを意識して、数字を意識してやりたい」。
日本代表の真の王へ。数字にこだわる堂安律がアジア王座奪還に導く。
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