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史上最強軍団はアジアを突き抜けられるのか?|森保ジャパン アジアカップの論点
Writer / 北健一郎
第二次・森保ジャパンは“日本代表史上最強”の呼び声も高い。2024年1月1日に行われたタイ代表戦で5-0で勝利し、国際Aマッチで歴代最多の9連勝を記録した。2022年のカタールワールドカップ以降、ドイツ代表に4-1で大勝するなど大量得点を重ねている。無双状態で迎えるアジアカップ。「世界一を目指す」と公言する森保一監督が率いるチームは、アジアを突き抜けられるのか。
(第1回/全3回)
アジアカップ決勝での違和感
森保一監督にとってアジア王者への挑戦は2回目だ。5年前の2019年2月、UAEで開催されたアジアカップで日本代表は決勝まで勝ち上がった。しかし、新興国カタールに1-3で敗れ、準優勝に終わっている。
日本は12分、27分と序盤で2失点を喫してしまう。2点のビハインドを背負って前半を折り返し、後半は主導権を握って何度もチャンスをつくった。だが、ひっくり返すには至らなかった。
勝てたはずだった--。
日本の敗因はひとことでいえば「森保監督」だった。しかるべき手を、しかるべきタイミングで打つ。それがチームを率いる監督の仕事だとするならば、決勝戦の日本には監督がいなかった。
前半の日本は生命線であるハイプレスがハマらなかった。2トップの大迫勇也と南野拓実がビルドアップを阻止し、高い位置でボールを奪って素早くゴールを狙う。それが森保ジャパンの基本コンセプトだった。
だが、守備のスイッチが入らない。スカウティングでは4バックと予想していたが、カタールは3バックにシステムを変更していた。大迫と南野が2トップでプレスをかけに行くものの、3バックに広い距離をとってパスを回されて、かいくぐられてしまう。
おそらく、森保監督の元にはスタンドで映像をとっている分析担当からリアルタイムで情報が入っていたはずだ。ただ、森保監督はすぐに守り方を変えず、ピッチの外から見守っていた。
当時はチームの立ち上げから数カ月しか経っておらず、守備の細かい約束事が決まっていなかった。外、つまり森保監督からの具体的な指示がなければ、ピッチの上の選手たちが混乱する可能性は高かった。
それでも、森保監督は選手たちに委ねた。「自分たちで解決する力をつけなければ、世界では勝てない」と言わんばかりに。
プロフェッショナルとして
2024年1月1日に行われたタイ代表戦の試合後の記者会見で、“森保監督らしさ”がうかがえる一コマがあった。欧州組とJリーグ組のシーズンの違いや、その中でも直近まで試合がある選手もいれば、すでにオフに入っている選手もいる。
森保監督によれば、試合が終わっているJリーグ組を早めに合宿に招集して、コンディションを上げながら、最後に欧州組と合流して試合に臨むというプランもあったという。そのほうが計算は立てやすい。
ただ、森保監督は選手を信じた。個々でコンディション調整をし、28日の合宿初日に照準を合わせてくるように伝えた。欧州組とJリーグ組がほぼ同じタイミングで集まり、初日からゲーム形式の練習を行なった。
森保監督は言う。
「プロフェッショナルとして、個々で何をしなければいけないかを、それぞれが置かれた環境の中でコンディションづくりをして、この活動に臨んでくれたのは素晴らしいですし、そこに敬意を評したいです」
裏を返せば、プロフェッショナルとしての準備ができない選手は、日本を背負ってピッチに立つ資格はないというテストでもある。表情は穏やかだし、物腰も柔らかい。ただ、「僕は性格が悪い」というように、勝負師としての厳しい顔も持つ。
森保ジャパンにとって2回目のアジアカップ。優勝候補筆頭として各国に警戒されており、簡単な大会にはならないだろう。それゆえに、自分たちでやるべきことを考え、お互いに意見を交換し、解決策を見つけていけるかが重要になる。
5年前にはできなかったことを、ピッチの上で表現できた時、“史上最強軍団”はアジアを突き抜けられるはずだ。
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