堂安律ら日本人選手にフォーカスしたABEMA独自カメラ!視聴者の「見たい」や「聞きたい」に応えた新たなブンデスリーガ中継とは|「スポーツと言えば、ABEMA」への挑戦

難波拓未/ABEMA

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2025.04.07

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堂安律ら日本人選手にフォーカスしたABEMA独自カメラ!視聴者の「見たい」や「聞きたい」に応えた新たなブンデスリーガ中継とは|「スポーツと言えば、ABEMA」への挑戦

難波拓未

Writer / 難波拓未

「ABEMA」にサッカーをはじめとしたスポーツが集結している。中継映像を網羅的に視聴できるシステムは、他のOTT(オーバー・ザ・トップ)サービスと一線を画す。そんな「ABEMA」がサッカーの中で唯一、自社で制作して中継しているのが、ドイツのブンデスリーガだ。2023年2月から生中継を開始すると、試合の前後やハーフタイムをフルに活用し、日本人選手の奮闘を届けている。2024‐2025シーズンから始まった「アベカメ独占インタビュー」を含め、試合映像を流すだけではない“ひと手間”について、プロデューサーを担当する河野晋也氏に話を聞いた。
(取材日:11月26日)

日本人視聴者に寄り添った映像作り

──「ABEMA」としてブンデスリーガを中継する上で意識していることは?

われわれはブンデスリーガの国際映像をもらって中継をしているんですけど、国際映像は対戦する両チームに平等に作られています。ドイツで制作された映像なので、現地ならではの意図があったり、注目選手が設定されていたりしています。ただし、「ABEMA」としては日本人選手にスポットを当てて中継したい。そういうなかで、現地のスタジアムに「ABEMA」のカメラを入れて、国際映像では見ることのできない「ABEMA」限定のプレー映像を入れたり、試合後にインタビューをさせてもらったりして、日本人の視聴者が見たい映像にしていくことをやっています。

──現地のピッチ脇にも「ABEMA」独自のカメラがあるんですね!

そうなんです。試合映像を撮影できる大きなカメラを日本からドイツに運ぶ輸送代は安くないので、毎試合「ABEMA」独自のカメラを入れることは難しいですが。目的としては、例えばフライブルクの堂安律選手がゴールを決めたら、本人の喜びの声をリアルタイムで聞きたいじゃないですか。なので、「ABEMA」独自のカメラがあれば、喜んでいる様子をずっと追いかけて、その姿を日本に届けることができます。

また、目立ちにくい活躍でもピックアップすることができます。以前、シュトゥットガルトのチェイス・アンリ選手に現地取材してVTRを作成してから、チェイス・アンリ選手をフューチャーして中継する試合がありました。国際映像のみの場合だと、もしチェイス・アンリ選手が良い守備をしても、引きの映像で捉えられ、どんな表情をしているのかわからないかもしれない。しかし、「ABEMA」独自のカメラはチェイス・アンリ選手だけをずっと追いかけ続けることができるし、表情が鮮明にわかる寄りの映像を撮ることができます。シンプルなんですけど、日本人が見たい映像を撮れるような体制を頑張って作っているという意識です。

──2024-2025シーズンからは試合後に『アベカメ独占インタビュー』と題し、日本のスタジオとドイツをつないで、試合を終えたばかりの選手に実況者と解説者がインタビューをしています。

キッカケは、視聴者の「見たい」や「聞きたい」を実現したいというシンプルなものでした。日本代表の試合やJリーグの試合はヒーローインタビューがありますよね。もちろん海外リーグは制約があるので、カメラを入れるのは厳しいと思っていたんですけど、いろいろと探っていくと実現できることがわかったんです。毎試合スタッフが海外に行って、『アベカメ独占インタビュー』をすることは費用的に難しいので、現地の方に協力してもらっています。

実は視聴者から「今日はインタビューあるのかな?」というコメントがけっこう届くんです。今はまだそういう人が少ないかもしれないけど、このインタビューを楽しみにしてくれている人がいる。そういう人たちの期待に応えたいですし、この取り組みが根付いていけばいいなと思いながら、技術と費用の部分を踏まえた持続可能な方法の確立を模索している最中です。

──ハーフタイムと試合後には、「試合ベストシーン」と題した映像を流し、解説者がプレーを語っています。通常のハイライトとは仕様が違うと感じていますが。

ハイライトは良いシーンを積んだり、日本人選手が出ていれば日本人選手の好プレーを積んでいったりという方法で作成します。それに対して、「ABEMA」の中継で流している「試合ベストシーン」は、解説者に選んでもらったシーンなんです。解説者の目線で一つのプレーを解説してもらうと、その人の色が出る。解説者がオフェンス目線なのか、ディフェンス目線なのかで違いますし、プレーのディティールといったすごくコアな目線で解説してくださるケースが多い。解説者がピックアップしたシーンには、「このプレーを選ぶんだ!」と驚かされることもあります。

サッカーコンテンツを無料で配信をする意味

──どういう人にブンデスリーガ中継を見てほしいですか?
もちろんブンデスリーガが好きな人に見てもらいたい思いはありますけど、2024-2025シーズンは無料配信しているので、まだあまり知らない人がブンデスリーガに興味を持つキッカケになりたいです。そのために、日本人選手の声を届けたいと思うし、無料でやっている意味があるのかなとも思っています。

キックオフ前にSNSで集めた勝敗予想の紹介も、SNS担当者がライト層に向けての施策を考えてくれているので、中継と連動できる部分を実践しています。

──河野さんからSNS担当者にリクエストすることもあるんですか?

ありました。堂安選手が所属するフライブルクの試合中継の前枠(キックオフ前)で、フライブルクのスタジアムの中にあるグッズショップ内と中継を結び、現地の記者に視聴者プレゼントを探しに行ってもらうロケをやりました。視聴者がコメントにほしいと書き込んだ商品や、売れ行きナンバーワンの商品をプレゼントしちゃおうというものです。日本人はなかなかフライブルクのグッズショップに行けないし、グッズをゲットすることも難しい。ファンは堂安選手のどんなグッズが売られているのかも気になると思うんですよね。1回試しにやってみました。

──今後ブンデスリーガ中継でやっていきたいことは?

日本とドイツは8時間の時差があってキックオフが夜遅い時間になるので、その時間からサッカーの試合を見るモチベーションを作ってあげることですかね。好きな人は見るけど、そうでない人に対しても、とにかく見てもらえるキッカケを作らないといけない。それを担うのが、解説者をはじめとしたキャスティングなのか、取材映像なのか。そこはブンデスリーガに限らず、すごく難しいです。

23時半からサッカーを見ようと思う人は、相当好きな人。試合が終わるのが深夜の2時近くになるので、次の日に仕事がある日曜日の試合を見るのは気合いが必要じゃないですか。リーグ戦は試合が続くので、「この試合を見よう」とはなりにくいんですよね。ワールドカップが代表的ですけど、国別の対抗戦で1試合しかない時や、負けたら終わりという状況の試合は「見なきゃいけない」という気持ちが働く。でも、ブンデスリーガは34試合あるので、「来週見ればいいや」という考えになることも理解できる。ただし、プレーする選手はその一戦に懸ける思いが絶対にあるので、いかに視聴者の方に試合を見てもらえるか。そのキッカケ作りは永遠の課題ですね。

──最後に、ブンデスリーガでプレーする日本人選手への思いを聞かせてください。

日本代表選手をはじめ、ブンデスリーガでプレーする日本人選手には、ぜひ万全なコンディションで存分に力を発揮してほしいと願っています。激しいプレーの中でケガと隣り合わせにあることは理解していますが、彼らが最高のパフォーマンスを発揮し続けることが、ファンにとっても何より喜ばしいことです。伊藤洋輝選手も、バイエルン・ミュンヘンへの移籍後に困難を乗り越え、出場機会を掴み始めています。これからのさらなる活躍に期待していますし、『ABEMA』としてもブンデスリーガを通じてその姿をしっかり届けていきたいです。特に守備的なポジションの選手は、派手なゴールシーンなどと比べると、そのプレーの価値が伝わりにくいことがあります。しかし、彼らは試合の流れを支える重要な役割を担っています。その魅力をより多くの人に知ってもらうために、『ABEMA TIMES』ではプレーをじっくり分析し、ファンの皆さんに選手たちの奮闘ぶりを深く伝える記事を発信しています。試合の結果だけでなく、一戦一戦に懸ける思いまで届けられるよう、これからも積極的に取り組んでいきます。

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