なぜブラジルの“神童”は後発ブランドを選んだのか?|ニューバランス、進撃のグレー

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2024.06.20

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なぜブラジルの“神童”は後発ブランドを選んだのか?|ニューバランス、進撃のグレー

田中達郎

Writer / 田中達郎

Editor / 北健一郎

世界的な有名選手の足元を見ると、ナイキ、アディダス、プーマという“3大ブランド”のスパイクが目立つ。しかし、サッカー界にいま小さな異変が起きている。ブラジルの神童と呼ばれるエンドリックをはじめ、将来性豊かなスター選手がニューバランスを選んでいるのだ。そこには、“ある共通点”が隠されていた。
(第2回/全3回)

ギビングバックと人間性

「ビッグクラブのリヴァプールで若くして試合に出ていますし、これからがすごく楽しみなタレントです」

リヴァプールのハーヴィー・エリオットの巨大パネルを指差して楽しそうに話すのは、ニューバランスのマーケディング部パフォーマンスカテゴリーマーケティング課の酒井崇光さんだ。

2015年、ニューバランスがサッカー界に参入すると同時に入社した酒井さんは、都内で行われた新作スパイクのお披露目イベントに元ベルギー代表MFアルマン・フェライニを来日させる企画を実現した。アフロが特徴の世界的選手が日本の地下鉄に乗る姿がSNSで拡散され、当時かなりの話題を呼んだ。

酒井さんは続ける。「エリオットはすごく家族思いで、インタビューでも家族の話がよく出てきます。チェルシーに所属するラヒーム・スターリングも、故郷ウェンブリーの街角でのストリートサッカーからインスピレーションを受けた限定スパイクを出しています」

他にもエンドリック(レアル・マドリード内定)、ブカヨ・サカ(アーセナル)、サディオ・マネ(アル・ナスル)など、世界的なアタッカーがニューバランスを着用している。キレキレのドリブラーを好んでいるのかと思ったが、どうやらそれだけではないようだ

「プレーもですけれど、『ギビングバック』といってボランティアやチャリティー活動についても大切に考えています。そういう活動に同意してくれる選手であることは重要ですね」

一見セレブリティな選手たちだが、既に地位を確立している超有名ブランドのスパイクではなくニューバランスを選ぶ。その理由の一つは、社会貢献活動の有無にあったのだ。

したがって契約選手は、今はまだ少ないと言う。

チームや選手と共に成長したい

ニューバランスがサッカー界に参入してから10年目を迎えた。既に他社ブランドが業界に存在する中での新規参入は、難しさがあったに違いない。独自の立ち位置を築くためには何が必要だったのだろうか。

サッカー界への参入時から担当してきた酒井さんが振り返る

「スポーツショップに行けば他社のスパイクもユニフォームもいっぱいあります。新しいブランドとして、何ができるかを考えた時に、成長できる場が必要だと思いました。そこから始めたのが毎年9月に開催されている『ニューバランスチャンピオンシップ』という高校1年生の大会です」

高校サッカーにも注力しているニューバランスは、誰もが知っている強豪校ではなく、これから強くなっていこうとしている、そんな高校と一緒に成長していくのが理想のようだ。

「埼玉県の昌平高校は、初めてインターハイに出場した時にニューバランスのユニフォームを着ていました。もう今は高校サッカー選手権でも常連になってきましたけど、彼らはずっとニューバランスを着てくれていて、一緒に歩んできた。元日本代表の玉田圭司さんが監督になられて、もっともっと注目されると思います」

これから未来を作っていく選手やチームと共に歩む。ニューバランスらしい美学のもと、サッカー界で独自の立ち位置を築いている。

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