【独占インタビュー】“札幌の力”を見せつけたい|金子拓郎 ディナモ・ザグレブ戦記

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海外サッカー

2024.01.11

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【独占インタビュー】“札幌の力”を見せつけたい|金子拓郎 ディナモ・ザグレブ戦記

黒川広人

Writer / 黒川広人

JリーグNo.1ドリブラーが2023年の夏、海を渡った。金子拓郎。複数のオファーの中から金子が新天地に選択したのはクロアチアの絶対王者ディナモ・ザグレブ。だが、初の欧州挑戦はCL予選敗退、監督解任……と逆風からのスタート。それでも、一つのゴールを契機にチャンスをつかむ。11月からスタメンを勝ち取り、ここまで公式戦で3ゴール、6アシストをマーク。東欧の地で戦い続ける”サムライ”が独占インタビューに応じた。
(第1回/全3回)

札幌からダイレクトで海外へ

──まずは北海道コンサドーレ札幌で過ごした時間を振り返っていただきたいと思います。

札幌では特別指定を含めて4年半過ごしましたけど、本当に一瞬で過ぎてしまって。在籍する間に、何とかタイトルなど明確な結果を、残したかったのが本音です。そこの悔いは今でも残っています。

──1年目、2020年の途中からスタメンに名を連ねると、2021年はJリーグ優秀選手に選ばれるなど大きなインパクトを残しました。

1年目はレギュラー定着を最初の目標に戦っていました。ただ、シーズン途中からスタメンで試合に出始めると、出ているだけじゃダメだなって。チームの結果への責任感を強く持つようになりました。

2年目は自分で言うのもアレですけど……“止められなかった”というか。ただ、21年の後半から、僕がボールを持ったら2人が止めに来る感じになって。2人のマークをどうすればよいか試行錯誤していました。3年目、2022年はうまくいかないことも多かった。

ただ、無駄な時間だとは思っていません。むしろ壁にぶつかる時期があって良かった。
そういう時期があったからこそ、ドリブルで仕掛ける以外のプレーの幅が広がったと思います。

──札幌時代で特に印象的な試合を挙げるとしたら?

悔しかったという感情のほうが強くて。その中でも、2021年のルヴァンカップの準々決勝でFC東京に負けた試合は強烈に覚えています。優勝する気満々だったので……。試合後は泣きましたね。

──Jリーグ時代も国内のビッククラブから幾度もオファーが来ていたと聞きます。その中で、札幌で戦うことを選択し続けた理由は?

札幌で活躍して直接、海外に行く。その気持ちしかなかったんです。国内移籍したら、シンプルに海外移籍がしづらくなるっていうのもありますし、札幌で結果を残すことしか考えてなかったので。

──札幌で確かな地位を確立したなかで、海外移籍に踏み切ったのは?

日本代表に入るには正直、海外でやらないと無理だなと思いました。とはいえ、Jリーグで活躍する選手が海外に行く訳なので、(日本代表を)海外組が代表の大半を占めるのも当たり前だと思います。それも分かっていたので、自分も代表選手と同じ土俵に立つしかない、チャンスが来たら絶対につかもうと。

ディナモ・ザグレブを選んだ理由

──そして、2023年夏、待ちこがれていたヨーロッパのクラブからオファーが届きました。ディナモ・ザグレブだけでなく複数のオファーがあったとか?

はい。オランダ、スウェーデンのクラブなどからもオファーをもらいました。オランダのクラブとは、ZOOMで強化担当者と面談もして、「自分を欲しい」とすごい熱意を伝えてもらって。ディナモか、そのクラブかで、かなり迷いましたね。

──移籍先をディナモ・ザグレブに決めた理由は?

昨シーズンもチャンピオンズリーグに出て、チェルシーに勝ったとか、ルカ・モドリッチ選手など世界的な選手を輩出してるじゃないですか?国内の強豪クラブでもあり、ステップアップもできる可能性もある。先も見据えて自分の中で決めました。

──三上大勝GMを始め、札幌のスタッフはどんな反応でしたか?

「行ってこい!」と。海外に行きたいという話は、強化部ともしていたので。本当にありがたいです。

僕が札幌から海外に行くというのは、すごい意味があると思っています。自分は大卒で入って、日本では札幌でしかプレーしていません。国内クラブを経由せず、ダイレクトで海外に行く先例になれて良かったと思っています。

札幌から世界へ行けるとなれば、今後札幌からオファーが来た選手が行く理由になるかもしれない。良い選手が集まれば、チームも強くなるし、海外からオファーがあれば、移籍金も入ってくる。自分がヨーロッパで成功することでそういう前例をつくりたいんです。

──コンサドーレのサポーターも金子選手の欧州挑戦を応援しています。

僕がクロアチアに来てからも、札幌のサポーターの方が応援してくれるのは届いています。だからこそ、「コンサドーレを背負う」っていうのもおこがましいですけど、ヨーロッパでも“札幌の力”を見せつけたいという気持ちは強いです。

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